犬の個性を受け入れるというトレーニング

おはようございます、らしくらしのalissaです。

昨日は犬のしつけの相談を受けてあるご自宅に伺ってきました。

イングリッシュコッカースパニエルのウィリーくん。7歳。去勢済みの男の子。

飼い主さんのご相談は、とにかく知らない人や知らない犬、他の生き物すべてに吠えかかろうとする、ということでした。もう半分諦めているのですが、見てもらえますか?ということで行ってきました。

吠える原因はなんだろう?

事前情報で気になったのは、「吠えかかる」という表現でした。誰これ構わず吠えて吠えて大変だから散歩は人を見つける度に逃げるように別の道へ入るとのこと。もちろん他の犬に対しても、カラスや猫などの他の動物を見ても吠えるそうです。

「吠える」ではなく「吠えかかる」という表現から、攻撃性による吠えをまずは疑いました。でも話を聞くと、家族とは非常に良好な関係で、誰かに噛み付いたということはないようです。

ということは、「社会化不足からくる吠え」の可能性が高いのではないか…。

とにもかくにも会ってみなければ分からない!ということで、今回私を紹介してくださった方と二人でウィリーくんの家に行きました。到着すると外で待ってくださっていた飼い主さん。「どうしましょ…。入っていただきたいのですが、噛み付いたりしたら…。本当にすごいんです。」と心配そうな顔。
今は家の中でリードをつないでますから、襲い掛かれないようにはなっています、というので、「それでしたらまずは入りましょう。」と、私も内心ドキドキしながら入ることに。

ぱっと玄関のドアを開けた瞬間、非常に太い大きな声で

ウォンウォンウォンウォンウォン!!!!!!!!

この吠え声は確かにすごい!!
我が家のシュシュの吠え声もなかなか声量ある方だと思っていたけどそれを上回る吠え声!

リビングに入り、私達の姿を見ると更にその吠え声は悪化し、飼い主さんが必死でリードを引きウィリーくんの体は半分宙に浮いている状態。かなりの興奮状態です。目をまっすぐ見てしまうと更にウィリーくんを興奮させてしまうと思ったので、チラっとだけ顔を確認すると、私には攻撃性が全く感じられず、「誰だ!怖い!出てけ!」と言っているように見えました。

怖くて知らない人が入ってきて追い出したいのにリードでひかれて身動きが取れない。それが更に興奮させているように見えたので、「大丈夫です。リードを離してください。」と言いました。飼い主さんは心配そうに「本当に大丈夫ですか??」と言いましたが、リードを離してもらいました。

その瞬間、私は敵ではないよということをウィリーくんに伝えるため、背中を見せてささっと座り目も合わせない状態に。そうするとウィリーくんは相変わらず吠え続けていましたが、決して私達に飛びかかってくることはなく、一定の距離を保ちながら吠え続けています。

「ウィリーくんの好きなおやつありますか?」と聞くと、飼い主さんが何本かジャーキーを渡してくれたので、少しずつちぎりながらぽーん、ぽーんとウィリーくんの方に向かって投げました。

一瞬、「ん?」という顔をしながらもおやつをしっかり食べるウィリーくん。

少しずつ投げる距離を短くして最終的に私の足のすぐ真横にぽとっと落とすと、普通に寄ってきてぱくり。すかさず手の上にのせて差し出すと、普通にぺろり。はい、ここで確信しました。この子は絶対に噛んでこない。

話を聞くと、大体生後5ヶ月くらいでペットショップから家にやってきたようで、家に来てからすごいパワフルでものすごくヤンチャだったとのこと。なので、散歩に連れて行っても誰かに怪我をさせてはいけない、迷惑を掛けてはいけない、とあまり他人や他のわんちゃんと触れ合わせていなかったようです。

聞けば、ペットショップではケージを開けても自分では出てこなかったので「おとなしい子」だと思ったと飼い主さん。もしかしたらそれは警戒心のあらわれだったのじゃないかと私は推測しました。警戒心が強い子ほどよりたくさんの社会経験(他の人と触れ合ったり、他のわんちゃんと遊んだり、いろんな場所に出かけたり)をさせないと警戒心はますます膨らむばかり。膨らんだ警戒心は、全てに対して「怖い」という印象になり、結局それが「吠え」を誘発させる結果となってしまいますからね…。

ウィリーくんの吠えがひどくなってしまった原因

  • ペットショップにいた時点ですでに警戒心が大きくなっていた
  • 人に迷惑を掛けてはいけない!という飼い主さんの配慮が更なる社会化不足を招いてしまった

犬は、生後3ヶ月位から警戒心が出てくると言われています。そしてそもそもの警戒心の強さというのも、犬種や個体差で大きく異なります。だからこそ小さい頃に、「これでもか!」という位の社会化がどの犬にも必要なわけです。でもその社会化の大事さを伝えてくれる場所があまりにも少ない…。そして社会化が出来る場所も少ない…!本当にここをどう解決していくかはドッグトレーナーの大きな使命だと思います。

これからウィリーくんはどうしましょう

  • 今からでも少しずつ慣れさせていく
  • このままのウィリーくんを受け入れる

この2つは相反するように見えますが、実はどちらも並行して進めていくことが大事。

どうしてもウィリーくんの7年間で身についてしまった性格や行動というのは、今すぐどうにかこうにかなるものではありません。人間だって、大人になればなるほど自分のクセや思考って変えられませんよね?だったら、今目の前にいるウィリーくんを自分の思い通りに変えようとするのはナンセンスだと思います。

私がご自宅に伺ってとても印象的だったのは、奥様とご主人と娘さんの前でのウィリーくんがとっっっても嬉しそうでベタベタに甘えている姿でした。そしてそのウィリーくんを本当に愛おしそうに見つめるご家族の顔。

ウィリーくんは幸せに育ててもらっている。それで十分。

このままのウィリーくんを受け入れた上で、少しでも警戒心を取り除けるようにご家族がサポートしていく。それでいいと思います。

結局その日のウィリーくんはどうなったの?

最終的に、私にも全身触らせてくれるようになり、お腹まで見せてくれました。笑。でもふと「あ!この人知らない人だった!」と突然正気に戻りまた吠える。しばらくするとまた寄ってきて嬉しそうに体をすり寄せてくる。

ギャップ萌えが半端ないよ!ウィリーくん!

犬の個性はそれぞれです。吠えやすい子がいれば吠えにくい子もいる。撫でられるのが好きな子もいれば触られるのが好きじゃない子もいる。それぞれなんです。だからこそ、トレーニングや躾で100%自分の理想通りの犬にしようとするのは不可能!

「その子の個性をしっかり見極めてまずはそのまんまを受け入れて愛する」

という飼い主側のトレーニングもとても大切だなと改めて思いました。

さて、私もそのトレーニングを引き続きシュシュから受けないと。笑。

※ちなみに写真はウィリーくんではありません。距離を縮めるのに必死で写真を撮り忘れましたm(__)m